日本麦焼酎発祥の地 壱岐の焼酎


「日本に焼酎数々あれど、壱岐を忘れちゃいけませぬ」
いきなり都々逸調になってしまいました。焼酎は、九州を中心に生産が盛んで、主な原料は麦、米、さつまいも、そばですが、他に黒糖やゴマ、しそなどからも造られる、日本を代表する酒類のひとつです。原料もアルコール度数も多種ある焼酎。中でも、今回は麦焼酎、特に壱岐焼酎についてご紹介したいと思います。

麦焼酎の原料

麦焼酎の多くは、大麦が主原料です。焼酎全般に共通することですが、原料には「発芽した穀類を使用しない」ことが定義されていて、これによってウィスキーと区別されます。 麦焼酎の産地といえば、まず大分が浮かびます。1960年代後半、大分で生産される麦麹に麦を掛け合わせる麦焼酎が各地で注目されたのをきっかけに、大分が麦焼酎の一大産地となりました。いまでは「大分麦焼酎」は地域団体商標として登録されています。

壱岐焼酎の独特な製法

一方、玄界灘に浮かぶ長崎県の壱岐の島では、米麹1/3に対し大麦2/3を使用した独特の製法で麦焼酎が造られています。この独特な製法が、麦の香りと、米麹由来の天然の甘みが特徴的な焼酎を造りだすのです。また貯蔵熟成酒が多く、伝統的なかめ貯蔵をはじめ、樫樽やタンクなど、熟成の仕方にも工夫が凝らされています。

世界が認めた壱岐焼酎

壱岐の島は、紀元3世紀の『魏志倭人伝』に「一大国(一支国)」と記述された、日本とアジアを結ぶ要衝地でした。また、米や麦など農作物が豊かだったことから、中国から伝わった製法に倣い、16世紀ごろには地産の麦で焼酎が造られていました。これが日本における麦焼酎の始まりです。その当時から受け継がれてきた伝統と製法を守り続けてきたことが評価され、壱岐焼酎は1995年にWTO(世界貿易機関)の「地理的表示」が認められたのです。

日々草酵母で仕込まれた日本で初めての麦焼酎

【単品】壱岐の蔵 玉姫 25度 720ml

【単品】壱岐の蔵 玉姫 25度 720ml

壱岐に伝わる良妻伝説にちなんで命名した花酵母焼酎です。日々草の花から分離した日々草酵母で仕込まれた日本で初めての麦焼酎です。低温でゆっくりと発酵させることにより、花の香りを思わせるまろやかな味わいです。

WTOの「地理的表示」とは、その土地で生まれ、その土地で作られて来た、その土地ならではの物で、しかも決められた製法で造られた物でなければ認められません。 ウィスキーではスコッチとバーボン、ブランデーではコニャックとアルマニャック、ワインではボルドーとシャブリ、シャンパーニュといった世界的に知られた銘酒も認定されています。これらと並ぶのが、日本の壱岐焼酎(*)というわけです。

こうして「地理的表示」が認められたことにより、「壱岐焼酎」という名前は壱岐以外の他の場所では使用できず、また国際的にブランドが保護されることになりました。 人口三万人の壱岐の島に、現在7つある焼酎蔵元は、いずれも、「壱岐」への誇りや「壱岐愛」を感じさせてくれます。伝統を守りながらも決して保守的ではない。それは「地理的表示」の認定により、「世界」を意識しているからなのでしょう。

スペインでシェリー酒に使用したホワイトオーク樽に貯蔵し熟成

【単品】壱岐 スーパーゴールド 麦 22度 720ml

【単品】壱岐 スーパーゴールド 麦 22度 720ml

香味の最も優れている本垂部分を採り、スペインでシェリー酒にしようしたホワイトオークに貯蔵し、熟成させた22度の本格壱岐焼酎です。オン・ザ・ロックがよく合います。

焼酎を造る多くの蔵元が「壱岐焼酎を知ることは壱岐を知ること」と発信しています。歴史ロマンと地元の心意気に想いを馳せながら一献。ウィスキーのスコッチやワインのボルドーのような世界ブランドになれ!と願いを込めて、また、一献。

注意:お酒は二十歳になってから。
*WTOの1995年「地理的表示」には、日本から同時に、熊本県人吉地方の「球磨焼酎」、沖縄県の「琉球泡盛」が、2005年には薩摩焼酎の産地薩摩」、白山白菊の産地「白山」(清酒)が認定を受けています。