フォーティファイドワイン
フォーティファイドワインを飲んだことがありますでしょうか。日本語で言うと、酒精強化ワイン。醸造過程にアルコール(酒精)を添加することによってアルコール度数を高めたワインのことで、代表的なものにスペインのシェリー、ポルトガルのポートがあります。
「どんな特徴のワインなの?」
「レストラン以外では飲んだことないなぁ・・・」
「そもそも、どんなワインかわからない!」
そんなあなたも読めばわかる!フォーティファイドワイン入門!!
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ちょっと醸造学
ワインは、酵母がぶどうの糖を分解してアルコールと炭酸ガスに分解することで発酵が起こります。この発酵の途中でブランデーなどのアルコール(酒精)を添加して、全体のアルコール度数を高めたのがフォーティファイドワインです。アルコールを加えるタイミングによって、甘口から辛口までタイプの違うフォーティファイドに仕上がります。
スペイン・ポルトガルでフォーティファイドが発展したわけ
スペインもポルトガルも、もともとワインの名産地です。しかし、気温が高くなることが多く、スティルワイン(非発泡の通常のワイン)の品質管理が困難でした。そこで、保存性を高めると同時に、他地域との差別化策としてフォーティファイドが発展したとされています。遠方輸送に適していたことで輸出がしやすく、イギリスで人気を博したのをきっかけに、その存在感を世界へ示すこととなりました。
本名・ヘレス
スペイン最南端、アンダルシア地方。この地の年間3000時間ともいわれる日照と、大西洋から吹く低温多湿の風が育むぶどうから、ソレラシステムという独特の製法で造られるのがシェリーです。シェリーは英語名ですが、スペイン名では、地名そのままの「ヘレス(Jerez)」や「セレス(Xerez)」と呼ばれ、原産地呼称が認められています。
スペインは、世界でも屈指のワイン生産量を誇りますが、十数年前までは輸出が多くありませんでした。ところがこのシェリーだけは例外で、「最も早く海外進出したスペインワイン」と言われています。
シェリーにはいくつか種類がありますが、最も生産が多く軽快な辛口でアルコール度数15〜17%程度のフィノは、食前酒に人気です。
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パロミノフィノ種100%使用の吟醸タイプ
フォーティファイドの代表格
ポルトガル北部のドウロ川上流域が、もうひとつのフォーティファイドの産地。ポルト港から世界へ向けて出荷されたことから、ポートの名がつきました。一説には日本にはじめてもたらされたワインがポートだとも言われています。
ポートには主に4種類あり、白ワインベースのフレッシュなホワイトは、食前酒に。トニックウォーター割りもおすすめです。赤ワインをベースに造られるルビーは、その美しい液色からも「ポルトガルの宝石」と称され、チーズやチョコレートなどと食後に愉しまれることが多いです。自然の酸化が進むよう独特の熟成をしたトゥニーは、キャラメルを使ったデザートやブルーチーズと相性がぴったりです。
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寒暖差のある気候が、ワインに熟成感と骨格を与える
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ポート・メッシアス・トウニー ヴィーニャ・メッシアス
ヒュー・ジョンソン氏も二~三ツ星つけるバイッラーダ本拠地の人気生産者。収量30hl/ha、オーク樽36ヶ月熟成、瓶熟36ヶ月、樽熟成を経て既に飲み頃を迎えているトゥニー・ポート。フレッシュな赤い果実の濃厚なジャムのアロマにバニラやオークの木樽の香りが加わる。
世界三大フォーティファイド
ポルトガルには、もうひとつフォーティファイドの産地があります。リスボンから南西に1000km離れた大西洋上の島で造られるマデイラ。ここで造られる酒精強化を加えて、世界三大フォーティファイドと呼んでいます。ポルトガルで2つもあるというのも興味深いですね。
良質のヴィンテージワインをブレンド
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マデイラ ブアル リゼルバ 10年 ヴィニョス・バーベイト 19%
食前食後酒、また欠かせない料理酒として、バーベイト社のマデイラワインは世界中で愛されています。バーベイトのマデイラは「フィニッシュが長く、さわやかな酸味」が特徴。他のマデイラとは一線を画す品質を誇ります。
その他の国では、イタリア・シチリアのマルサラ、フランスの天然甘味ワイン(ヴァンドゥーナチュレル)がありますし、ヘレスのお隣、スペインのマラガでも酒精強化が造られています。
マスカットぶどうから造られる、南フランス名産の甘口酒精強化ワイン
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【単品】ミュスカ ド サン ジャン ド ミネルヴォワ 375ml
フランスのヴァンドゥーナチュレル。マスカットぶどうを使用した酒精強化で、天然の糖度が残りやさしく心地よい甘さ。
もともと保存に適したワインですから、開封後、劣化しにくいのも特長です。つまり、食前や食後に一杯ずつ、という飲み方ができます。また、カクテルなどのアレンジはもちろん、料理や製菓にも活躍してくれますので、ぜひフォーティファイドワインにチャレンジしてみてくださいね。
注意:お酒は二十歳になってから。