日本酒のおすすめを探すには?「吟醸・大吟醸…名前から造りを読み解く 日本酒」


日本酒の「吟醸」とか「大吟醸」などの名称、お酒をたしなむ方でしたら、一度は聞いたことがありますよね。しかし、この名称が何を示しているのか、実際よくわからない方も多いはず。
この名称は、簡単に言いますと、日本酒の性質の分類を示しています。お酒の名称には、そのお酒の性質を示す情報が、含まれていることがあります。ですから、キーワードを少し覚えておくと、初めて出会うお酒でも、基本的な性質を想像しやすくなります。
そこで今回は、日本酒に関するキーワードを取り上げたいと思います。

吟醸とは

そもそも「吟醸」とは、吟味した原料を使用して、醸造することを言います。日本酒の吟醸造りとは『吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造すること』と定義されています。
では、冒頭でも述べた「吟醸」と「大吟醸」の違いは何でしょうか?

特定名称酒

日本酒は、原料米の精米歩合(米の表面をどのくらいの割合で削るか)と、使用する原材料に醸造用アルコールを添加するかどうか、などによって「特定名称酒」として分類されています。その分類の名称として、「吟醸」や「大吟醸」が使われているのです。

その、特定名称酒について詳しく説明したいと思います。名称は8種類あり、基本的には「純米」と「本醸造」にわかれます。ここに精米の歩合率で「吟醸」や「大吟醸」に分類される事になります。具体的な分類の条件は下記の表で示しましたので、是非ご覧ください。

<特定名称酒>

原材料 米・米こうじ 米・米こうじ+醸造アルコール
精米歩合
50%以下
純米大吟醸酒
吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好
大吟醸酒
吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好
精米歩合
60%以下
純米吟醸酒
吟醸造り、固有の香味、色沢が良好
吟醸酒
吟醸造り、固有の香味、色沢が良好
精米歩合
60%以下
または特別な製造方法
(要説明表示)
特別純米酒
香味、色沢が特に良好
特別本醸造酒
香味、色沢が特に良好
精米歩合
70%以下
本醸造酒
香味、色沢が良好
純米酒
香味、色沢が良好
  • 参考:平成元年国税庁告知第8号「清酒の製法品質表示基準」の概要
  • 色沢(しきたく)とは、酒の色と透明度を指します。
  • 精米歩合(玄米の表面を削る精米工程における原料の重量に対する割合のこと)

「生酒」「生詰め」「生貯蔵」

特定名称酒による分類のほかにも、保存には冷蔵が望ましいとか、どんな風味か、などおおまかな特徴がつかめるキーワードをご紹介します。

日本酒は、出荷までに殺菌のための火入れを二度行います。一度目は醸造終了後で、二度目は瓶詰め前です。この火入れを全く行わないのが「生酒」です。火入れをしないため、麹の酵素や菌、酵母が生きたまま存在しているのでフレッシュな風味が堪能できますが、温度など品質管理が難しく、かつては蔵の中でしか味わえないものでした。安定した流通と保存が困難なので、一般の酒屋ですら販売していることがほとんどありませんが、幸運にも手に入れることができたのであれば、低温で光の当たらない暗い場所に保管し、開封後は、新鮮なうちに飲みきってしまうのがよいでしょう。

これに対し、醸造後、一度火入れをして貯蔵し、瓶詰め前の火入れを行わないものが「生詰め」。秋に旬の日本酒として出回る「ひやおろし」も「生詰め」になります。こちらも冷蔵保存が望ましいお酒になります。

逆に生のまま貯蔵し、出荷前に一度だけ火入れするのが「生貯蔵」です。生貯蔵酒は、生の風味を残していながら常温でも管理できるのがうれしいところです。

大関 生貯蔵酒 180ml

大関 生貯蔵酒 180ml

キュッと冷やして飲む冷酒ならではの味わいにこだわって仕込んだ酒です。
さわやかなのど越しと、ふくらみのある香り。程よい甘みは冷やすことでさらに強調されます。
季節にかかわらず、フレッシュな味わいを愉しみたい生貯蔵酒です。

長期貯蔵の日本酒

通常、日本酒の熟成期間は1年程度ですが、吟醸酒などでは2〜3年の熟成を行いまろやかな風味に仕上げる長期貯蔵酒もあります。また、ウィスキーでは欠かせず、ワインでもよく行われる「樽熟成」を日本酒で行うこともあります。杉の樽が用いられることが多く、木の香りが程よくうつった独特の風味が魅力です。

月桂冠 上撰 樽酒 1800ml

月桂冠 上撰 樽酒 1800ml

醸造に適した上質の原料米をていねいに磨き、京都の名水"伏水"でじっくりと醸した自然な香りとまろやかな旨味が特徴のお酒です。五味(甘味・酸味・辛味・苦味・渋味)のバランスと味の深みを徹底的に追求した、多くのお客様に親しまれてきたお酒を一度樽詰めし、杉の香りをなじませた商品。杉の爽やかな香りとすっきりとしたあと味が楽しめます。

「山田錦」や「蔵の華」など、使用する米の品種がラベルに書かれた日本酒もあります。「辛口」や「甘口」、「淡麗」など味わいの特徴を名前にしたわかりやすいものもあれば、スパークリングやワイン酵母仕込みなど新しいタイプも増えていて、日本酒は楽しみの幅がどんどん広がっています。
ぜひ、名称やキーワードから日本酒の性質や味わいを想像しつつ購入し、その想像が当たっていたかどうかを楽しみながら飲んでみてください。

注意:お酒は二十歳になってから。

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