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シャトー・ムートン・ロートシルト 2010年 メドック格付第1級 (フランス ボルドー ポイヤック 赤ワイン) エチケット傷あり

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故フィリップ・ロートシルト男爵が独自につくり上げた場所であり、ワインである。21歳でこのシャトーを得たとき、彼が並々ならぬ野心を抱いたのは疑いないことだ。 しかし、豊かで著しく深みのあるエキゾチックなスタイルのポイヤックの生産によって、彼は「1855年のメドックのワインの格付けを変えさせた、唯一の男」になったのである。男爵は1988年1月に死去。今はその娘フィリピンヌがこのワイン造りの帝国の精神的頂点にいる。彼女は常に、パトリック・レオン率いる有能なムートン・チームの頼もしい協力を得てきた。 1973年、ムートン=ロートシルトは公式に『一級シャトー』と格付けされる。こうして、異才の男爵は、彼の挑戦的ワインのラベルの言葉を、『一級にはなれないが、二級の名には甘んじられぬ、余はムートンなり』から、「余は一級であり、かつては二級であったムートンは不変なり」と変えた訳である。疑問の余地なく、私が飲んだボルドーの最もすばらしい瓶のいくつかはムートンだ。なぜこのワインが商業的に成功したか、理由はいろいろある。まず、ムートンのラベルが収集の対象であること。1945年以来、フィリップ・ロートシルト男爵は、画家に年に一枚、絵の作成を依頼し、それがラベルを飾った。ムートン=ロートシルトのラベルに登場する大家にはこと欠かなかった。ヨーロッパからミロ、ピカソ、シャガールにコクトー、アメリカ人ではウォーホル、マザーウェル、そして1982年にはジョン・ヒューストン。次に、すばらしいヴィンテージにおけるムートンのふくよかさが、ラフィット=ロートシルトの厳しい優雅さと、そして濃密で逞しく力強く、タンニンのきいたラトゥールと、かなり違ったスタイルを持つこと。三番目には、申し分なく維持されたシャトー自体が、その一流のワイン博物館とともに、メドックの(そして多分全ボルドー地域でも)最高の観光地であること。最後に男爵自身、彼が自らのワインのみならず、ボルドーのすべてのワインを普及させるために尽力したということがある。彼の娘フィリピンヌも、父の遺産を十二分に存続させる力がありそうだ。 (ロバート・パーカー)

ヒュー・ジョンソン氏は、「公式に第1級格付として認められたのは1973年だが、実質的にはずっと以前からそうだった。王者らしい豊潤さをもつ、多くの場合メドックで最も豊麗なワインになりうる。1991年からは白のエル・ダルジャン Alie d'Argent(銀の翼の意)も産している。」として満点評価の★★★★4つ星!

「ムートンが好きではないのですね」と、よく指摘される。否定はしない。なぜならムートンには、ネガティブな感情を抱かざる得ないふたつの大きな理由があるからだ。まず、45年、82年、86年のような衝撃的なヴィンテージがたまに訪れるとしても、通常は余韻が軽く、エネルギー感が最後まで持続しない。次に樽が強すぎてフィネスに欠ける。正直言って、今回も期待していなかった。ところがそのネガティブな感情は、2005年のワインを口に含んだ瞬間、吹き飛んだ。今までの過剰な樽風味がなくなっていた。凝縮度が向上し、溌剌として明快なムートンならではの味わいがより実体感を獲得して、エネルギー感を増していた。そして余韻もしっかりと長かった。この劇的な変化をもたらした原因は、ひとつしか考えられない。新しいテクニカル・ディレクター、フィリップ・ダルアンだ。シャトー・ブラネール・デュクリュを驚くべき品質のワインへと向上させた彼が、ムートンに移籍すると初めて聞いたのは、2003年の春だった。その時の彼の表情からは、並々ならぬ意気込みが感じられた。「これでムートンは変わる」と思った。そしてその思いは現実になった。数多くのムートンを飲んできた彼は、問題点を把握していた。自分ならもっとうまく造ることができるという自負があった。「前任者のパトリック・レオンは、ムートン・カデまでを含む、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・グループすべてのワインを監督していた。その中にはオーパス・ワンも、アルマヴィーヴァも、バロン・ダルクもある。世界中を飛び回り、なおかつムートンで最高の仕事をするのは無理だ。実際、彼はムートンには2週間に1回しか来なかった。だから自分は条件を出し、ネゴシアン系のワインには関与しないことにした」。彼は2003年ヴィンテージから立ち会った。「パトリックがワイン造りを見せてやるというから、ああそうですか、と見ていた。2004年からは自分の思いどおりにやった。それまでのミディアム・ハイ・トーストの樽をやめ、ミディアム・トーストにした。選別も厳しくした」。そのことで、「今まで見たこともないほど完璧に熟したカベルネ・ソーヴィニヨンの持つ果実そのものの力」と「平均樹齢50年という古木ならではの複雑性と凝縮度」が、素直に表現されるようになった。彼は当たり前のことをしたまでだ。しかし彼はとてつもなく重大な変化をムートンにもたらした。つまり本物の1級にならしめたのだ。以上ワイナートより抜粋

シャトー・ムートン・ロートシルト 2010年

毎年世界の有名アーティストが手掛けるシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルデザイン。2010年ヴィンテージはアメリカの彫刻家で現代アートの第一人者、ジェフ・クーンズが手掛けました。クーンズは1955年にペンシルヴァニア生まれ。美術品ブローカーを経てデビュー。アンディ・ウォーホルやマルセル・デシャンらに影響を受けて、ポップアートの伝統とキッチュな美を融合させた。カラフルなステンレス製風船を使った彫刻「バルーン・ドッグ」や、鉄の骨組みに花を植えて犬の形に刈り込んだインスタレーション「パピー」などが有名。ベルサイユ城に17作品が展示され、作品が最も高値で取引される現存する芸術家の1人。

今回のラベルには、イタリアの古代都市ポンペイのフレスコ画「ヴィーナスの誕生」の上に、シルバーの絵の具で船と輝く太陽が描かれています。

比較的涼しく、乾燥した気候の2010年。しかし陽光は十分で6月と9月上旬には程良い降雨もありました。結果、凝縮した小粒の果実を収穫することができ、濃い色合いとしっかりした酸が特徴の出来となっています。

グラスに注いだ外観は深く鮮烈な赤。カベルネ・ソーヴィニヨン特有の香りが強く表れています。香ばしいバニラ香りから、ブラックカラントとブラックチェリーの明るいフルーツ香へ。深さと広がりを持った非常に強いタンニンが口の中を包み、アフターにはフレッシュな酸とミネラルが残ります。抜群の余韻の長さ、優雅さ、バランスを誇り、ヨーロッパ中が素晴らしい出来に沸いた2009年に劣らないグレイトヴィンテージです。
ワインアドヴォケイト205号より
ワインアドヴォケイト194号より
ワインジャーナル #0313より
ワインジャーナル #0511より


シャトー・ムートン・ロートシルト 2010年 メドック格付第1級 (フランス ボルドー ポイヤック 赤ワイン) エチケット傷ありのレビュー

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