日銀総裁のレトリック /木原麗花
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≪商品情報≫
著者名:木原麗花
出版社名:文藝春秋
発行年月:2024年09月
判型:新書
ISBN:9784166614707
≪内容情報≫
投資家要注目! 言説分析から見えてくる植田総裁の「次の一手」
2023年に植田和男総裁が就任して以来、マーケットは不安定な状況が続いている。
2024年夏までは円安基調に歯止めがかからず、植田総裁が発言するたびに円は売り込まれた。
しかし、2024年7月末に利上げを発表し、会見でさらなる利上げに言及した途端、株式市場は史上最大の暴落に見舞われてしまった。
その後も市場は不安定に推移し、植田総裁の一挙手一投足から目が離せない状況が続いている。
いったい日銀は何を考えているのか? 植田総裁は何がしたいのか?
通信社で通算20年以上も日銀担当をつとめてきたベテラン記者の著者は、「レトリック分析」を用いて、日銀総裁の発言の中から隠されたメッセージを読み解いてきた。
レトリック(修辞学)は、日本では「巧妙に人を騙す詭弁」と捉えられがちだが、欧米では古代ギリシャから連綿と続く学問領域として受け入れられている。どのように他者を説得し、自分の主張の正当性をアピールできるかは、死活的に重要な能力であるとみなされてきた。
日銀は、さまざまなレトリックを駆使して市場にメッセージを送っている。「景気拡大の芽」「デフレという慢性疾患」「成長力は経済の基礎体力」等々、さまざまなメタファーを駆使することもある。また、揚げ足をとられないよう、巧みに日銀の責任を回避するレトリックもある。一時期、官僚の作文を「霞が関文学」と揶揄する向きがあったが、「日銀文学」なるものもある。
日銀文学は総裁の個性によって大幅に異なるが、言葉の統計をとってレトリック分析にかけることによって、総裁のホンネや弱点が見えてくるのだ。
著者のレトリック分析によると、前任の黒田総裁は明解で歯切れのよい言葉を使うことで、市場に強いメッセージを送っていた。しかし、任期途中から急速に歯切れのよさが低下し、責任を他者に転換するような物言いが多くなった。
続く植田総裁は、黒田時代の大規模緩和から「通常モード」へとナラティブの大転換をおこなった。同時に、丁寧に説明を尽くす姿勢に徹している。
ところが、丁寧な物言いを心がけようとすればするほど、予想外の言葉が口をついて出てしまい、市場にあやまったメッセージを発してしまいがちだ。それが投機筋につけ込まれる。
では、そうしたレトリックはいったい誰が書いているのか?
じつは、日銀エリートたちの「奥の院」である「企画局」の少数のメンバーが、各総裁の好みにあわせて起草しているのだ。
著者は豊富な取材経験から、日銀エリートたちの生態や各総裁の秘話も明かす。
日銀を理解するには絶好の一冊だ。
著者名:木原麗花
出版社名:文藝春秋
発行年月:2024年09月
判型:新書
ISBN:9784166614707
≪内容情報≫
投資家要注目! 言説分析から見えてくる植田総裁の「次の一手」
2023年に植田和男総裁が就任して以来、マーケットは不安定な状況が続いている。
2024年夏までは円安基調に歯止めがかからず、植田総裁が発言するたびに円は売り込まれた。
しかし、2024年7月末に利上げを発表し、会見でさらなる利上げに言及した途端、株式市場は史上最大の暴落に見舞われてしまった。
その後も市場は不安定に推移し、植田総裁の一挙手一投足から目が離せない状況が続いている。
いったい日銀は何を考えているのか? 植田総裁は何がしたいのか?
通信社で通算20年以上も日銀担当をつとめてきたベテラン記者の著者は、「レトリック分析」を用いて、日銀総裁の発言の中から隠されたメッセージを読み解いてきた。
レトリック(修辞学)は、日本では「巧妙に人を騙す詭弁」と捉えられがちだが、欧米では古代ギリシャから連綿と続く学問領域として受け入れられている。どのように他者を説得し、自分の主張の正当性をアピールできるかは、死活的に重要な能力であるとみなされてきた。
日銀は、さまざまなレトリックを駆使して市場にメッセージを送っている。「景気拡大の芽」「デフレという慢性疾患」「成長力は経済の基礎体力」等々、さまざまなメタファーを駆使することもある。また、揚げ足をとられないよう、巧みに日銀の責任を回避するレトリックもある。一時期、官僚の作文を「霞が関文学」と揶揄する向きがあったが、「日銀文学」なるものもある。
日銀文学は総裁の個性によって大幅に異なるが、言葉の統計をとってレトリック分析にかけることによって、総裁のホンネや弱点が見えてくるのだ。
著者のレトリック分析によると、前任の黒田総裁は明解で歯切れのよい言葉を使うことで、市場に強いメッセージを送っていた。しかし、任期途中から急速に歯切れのよさが低下し、責任を他者に転換するような物言いが多くなった。
続く植田総裁は、黒田時代の大規模緩和から「通常モード」へとナラティブの大転換をおこなった。同時に、丁寧に説明を尽くす姿勢に徹している。
ところが、丁寧な物言いを心がけようとすればするほど、予想外の言葉が口をついて出てしまい、市場にあやまったメッセージを発してしまいがちだ。それが投機筋につけ込まれる。
では、そうしたレトリックはいったい誰が書いているのか?
じつは、日銀エリートたちの「奥の院」である「企画局」の少数のメンバーが、各総裁の好みにあわせて起草しているのだ。
著者は豊富な取材経験から、日銀エリートたちの生態や各総裁の秘話も明かす。
日銀を理解するには絶好の一冊だ。