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夕焼雲の彼方に 木下惠介とクィアな感性 /久保豊
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- 商品情報
- レビュー
≪商品情報≫
著者名:久保豊
出版社名:ナカニシヤ出版
発行年月:2022年03月
判型:四六判
ISBN:9784779516603
≪内容情報≫
クィア批評を、日本映画史に刻み込む――
映画監督が残したクィアな痕跡を辿り、作品の積極的な読み替えを通して、異性愛規範によって声を奪われてきた観客の視線を提示/共有する、クィアな「観客」による映画批評の実践!
「本書は、現代を生きるクィアな観客の一人として、今や忘れ去られた映画監督の一人である木下惠介の映画作品に対してクィア批評を施す。それは自分が存在しなかった戦前から戦後にかけての過去を振り返り、その場にいたかもしれない想像上のクィアな観客として、その過去に潜在したかもしれないクィアな欲望の再創造/再想像を意味する。それは、一九四〇年代から一九五〇年代、かつて日本のどこかの映画館で木下映画を観ていたかもしれない「私」が映画スクリーンに見出した欲望を浮き彫りにし、読み解く実践にもなりうるかもしれない。本書が探求する木下惠介のクィアな感性とは、現代を生きるクィアな観客としての私と過去を生きたクィアな観客としての「私」とを時空間を超えてつなぎ合わせるポータルと化すのだ。」
「私は日本国内を研究拠点とする映画研究者の一人として、自らのセクシュアリティを通じて得た経験を映画分析の記述に含めていく姿勢を本書だけでなく、今後も重要視したいと考えている。私自身のセクシュアリティや欲望を一人の観客・研究者として隠蔽することは、二十世紀を通じて異性愛中心主義的な物語と表象に隠蔽され続けてきたクィアな観客の映画体験をさらに奥深くへ消し去ってしまいかねないからだ。私のセクシュアリティや欲望の固有性を日本映画史の再構築や映画分析の実践に刻み続けることで、私を含むクィアな観客の存在を曖昧にせず、再び見過ごされ抹消される可能性に対する抵抗を目指したい。」(「はじめに」より)
■著者紹介
久保 豊(くぼ ゆたか)
1985年、徳島県生まれ。専門は映画学、クィア批評。京都大学大学院人間・環境学研究科にて修士号と博士号を取得。早稲田大学坪内博士記念演劇博物館助教を経て、現在、金沢大学人間社会学域国際学類准教授。編著に『Inside/Out――映像文化とLGBTQ+』(早稲田大学演劇博物館、2020年)、論考に「SOMEDAYを夢見て――薔薇族映画「ぼくらの」三部作が描く男性同性愛者の世代」(『クィア・シネマ・スタディーズ』晃洋書房、2021年)、“Fading away from the Screen: Cinematic Responses to Queer Ageing in Contemporary Japanese Cinema”(Japanese Visual Media: Politicizing the Screen, Routledge, 2021)、「エヴァの呪縛に中指を突き立てる――『シン・エヴァンゲリオン劇場版 』にみる成長の主題」(『シン・エヴァンゲリオン』を読み解く』河出書房新社、2021年)など。
著者名:久保豊
出版社名:ナカニシヤ出版
発行年月:2022年03月
判型:四六判
ISBN:9784779516603
≪内容情報≫
クィア批評を、日本映画史に刻み込む――
映画監督が残したクィアな痕跡を辿り、作品の積極的な読み替えを通して、異性愛規範によって声を奪われてきた観客の視線を提示/共有する、クィアな「観客」による映画批評の実践!
「本書は、現代を生きるクィアな観客の一人として、今や忘れ去られた映画監督の一人である木下惠介の映画作品に対してクィア批評を施す。それは自分が存在しなかった戦前から戦後にかけての過去を振り返り、その場にいたかもしれない想像上のクィアな観客として、その過去に潜在したかもしれないクィアな欲望の再創造/再想像を意味する。それは、一九四〇年代から一九五〇年代、かつて日本のどこかの映画館で木下映画を観ていたかもしれない「私」が映画スクリーンに見出した欲望を浮き彫りにし、読み解く実践にもなりうるかもしれない。本書が探求する木下惠介のクィアな感性とは、現代を生きるクィアな観客としての私と過去を生きたクィアな観客としての「私」とを時空間を超えてつなぎ合わせるポータルと化すのだ。」
「私は日本国内を研究拠点とする映画研究者の一人として、自らのセクシュアリティを通じて得た経験を映画分析の記述に含めていく姿勢を本書だけでなく、今後も重要視したいと考えている。私自身のセクシュアリティや欲望を一人の観客・研究者として隠蔽することは、二十世紀を通じて異性愛中心主義的な物語と表象に隠蔽され続けてきたクィアな観客の映画体験をさらに奥深くへ消し去ってしまいかねないからだ。私のセクシュアリティや欲望の固有性を日本映画史の再構築や映画分析の実践に刻み続けることで、私を含むクィアな観客の存在を曖昧にせず、再び見過ごされ抹消される可能性に対する抵抗を目指したい。」(「はじめに」より)
■著者紹介
久保 豊(くぼ ゆたか)
1985年、徳島県生まれ。専門は映画学、クィア批評。京都大学大学院人間・環境学研究科にて修士号と博士号を取得。早稲田大学坪内博士記念演劇博物館助教を経て、現在、金沢大学人間社会学域国際学類准教授。編著に『Inside/Out――映像文化とLGBTQ+』(早稲田大学演劇博物館、2020年)、論考に「SOMEDAYを夢見て――薔薇族映画「ぼくらの」三部作が描く男性同性愛者の世代」(『クィア・シネマ・スタディーズ』晃洋書房、2021年)、“Fading away from the Screen: Cinematic Responses to Queer Ageing in Contemporary Japanese Cinema”(Japanese Visual Media: Politicizing the Screen, Routledge, 2021)、「エヴァの呪縛に中指を突き立てる――『シン・エヴァンゲリオン劇場版 』にみる成長の主題」(『シン・エヴァンゲリオン』を読み解く』河出書房新社、2021年)など。