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戦国期宗教勢力史論 /安藤弥

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≪商品情報≫

著者名:安藤弥
出版社名:法蔵館
発行年月:2019年03月
判型:A5
ISBN:9784831862518


≪内容情報≫

本書は、戦国期宗教勢力の歴史的実態について、本願寺教団を主な検討対象として論ずるものである。ここでいう「戦国期」とは、およそ十五世紀後半から十六世紀にかけての時代のことである。すなわち中世後期のさらに後半期であり、十六世紀末についてはさらに織豊期と呼称されることもあるが、本書では基本的に戦国期と統一して呼称する。戦国期は日本社会が政治・経済・文化等さまざまな局面において大きく変革した時代とされる。その一方で緩やかな移行の局面もあったとされ、近年は「中近世移行期」と表現されることが多い。しかし、強い意識をもってその表現を用いているのならば理解もできるが、何となく使用されているかのような状況もあり、そうであるならば問題がある。本書ではあえて「中近世変革期」という捉え方を意識して行論していきたい。日本社会が中世から近世へと歴史的に展開していくこの時代の理解をめぐり、変革か、移行かという二者択一、二項対立の議論に終始してもまた問題ではある。とはいえ、かつては一九七〇年代を中心に、戦国期の宗教史をめぐる評価が、この時代を変革期と捉える一つの鍵になっていた。それは、中世後期の民衆闘争のうねりが一向一揆などの宗教一揆によって最高点に達したが、これを克服し近世社会の幕を開けたのが統一権力であるという捉え方であった。すなわち、宗教一揆の克服が、近世統一政権成立の歴史的前提とされ、活発に議論されたのである。その後いくつかの具体的反証が示されて議論は沈静したが、こうした研究史の動向があった以上、必ず意識する必要がある。戦国期に起こったさまざまな事象を考えれば、この時代に大きな社会変動があったことは確かである。そして、そうした時代社会において「宗教」状況もまた大きく揺れ動いた。時代社会が大きく揺れ動くとき、新たな「宗教」が誕生しやすいことはよく指摘されている。戦国期には確かにさまざまな「宗教」が新たに生まれたが、それは激動する時代社会において、人びとがいかに生きるよりどころとして「宗教」を求めていったかということにほかならない。こうした大きな歴史的課題についてはさまざまな角度からの議論が可能であるが、本書では全面的議論の用意はなく、まずは「宗教勢力」という語を用い、検討課題を絞り込んでいくことにする。 (序論より)

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