本願寺教団と中近世社会 /草野顕之

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≪商品情報≫

著者名:草野顕之
出版社名:法蔵館
発行年月:2020年06月
判型:A5
ISBN:9784831877284


≪内容情報≫

本願寺〈宗教〉と政治的〈権力〉がいかなる関係によって中近世を構成していたのかを明らかにし、〈宗教〉的世界に規定された列島社会の中近世という新たな歴史像を世に問う。

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日本史を考えるうえでの〈宗教〉性の重要性は、権力者の場合でいえば、後醍醐天皇の密教への傾倒や、室町殿の禅への傾倒、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康などの自己神格化といった事象からも明らかであるし、民衆の場合でも、惣村や一揆といった自治・自立の象徴と教科書で語られる事柄は、すべて鎮守や村堂といった地域仏神のもつ〈宗教〉性によって、その正統性が担保されているのである。
飢饉・戦争といった天災・人災が打ち続いた中近世社会において、〈宗教〉はそうした正統性の論理的根拠になるとともに、現実の世俗社会においても、権力がなしえない事柄を実現せしめた。例えば、飢饉に際して仏教者たち(特に真言律宗や時宗)は、「施行」と称して仮小屋を建てて炊き出しを行ったり、厳しい身分制の中で、差別された人びとや、「身分外身分」と呼ばれる立場にあった人びとを受けいれ救済を説くなど、現当二世にわたる救済に取り組んでいる。また、国家や地域領主が利害関係の中で成しえなかった、道路の修補や架橋、築堤といった土木工事も、〈宗教〉者の主導によって、ようやく実現されたという事例も多い。こうして見ると、日本の中近世社会は、「相依」というよりもむしろ、〈宗教〉を前提として成り立った世界であり、権力者は、〈宗教〉との間にどのような関係を構築するかが、重要な課題であったということになる。
本論集では、こうした前提にたって、中近世社会と〈宗教〉との関係を検証するための材題として、「本願寺教団」を取り上げている。
(「序論」より)
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