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オランダの文豪が見た大正の日本 /ルイ・クペールス 國森由美子

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≪商品情報≫

著者名:ルイ・クペールス、國森由美子
出版社名:作品社
発行年月:2019年10月
判型:四六判
ISBN:9784861827693


≪内容情報≫

長崎から神戸、京都、箱根、東京、そして日光へ。
東洋文化への深い理解と、美しきもの、弱きものへの慈しみの眼差しを湛えた、ときに厳しくも温かい、五か月間の日本紀行。
写真70点収録!


春はいまだ寒い。樟はその艶のある葉を震わせている。その葉を摘み、われわれは樟脳の香を確かめる。細く美しい――日本の――笹は、けば立ち少し波うったような、すこぶる長いダチョウの羽のように、束になって地面に密生し、岩の上に飾り物のような姿を見せている。藤――オランダ語で「青い雨」――は、いまだ黙したままだ。一世紀の間、身をよじらせてきた幹は、さらに螺旋を描いて伸び、その枝を蔓棚や東屋の棚に蛇のように絡ませ、最初の一葉、またそれが花房となるのを待ちながら裸身を晒している。そして、身を切るような風の中、今年初めての桃の花は、紫色に、身震いする小枝の間で、まき散らされ吹き飛ばされるかのごとく、幽く寒さに震えている。(…)それから、たいてい傍らに庭石を飾りに添えた盆栽のある庭がある。そしてわれわれにお辞儀をする女性たちは艶やかな髪を結い上げ、干し物をしている。(本書より)

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