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図解言志四録 学べば吉 /齋藤孝(教育学)
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- レビュー
≪商品情報≫
著者名:齋藤孝(教育学)
出版社名:ウェッジ
発行年月:2017年10月
判型:B6
ISBN:9784863101890
≪内容情報≫
「知識」の朱子学と「実践」の陽明学、
その両方を極めた佐藤一斎からの
極めて具体的かつ実用的な人生指南。
『言志四録』は、西郷隆盛や吉田松陰、坂本龍馬らが心酔した書ですが、お世辞にも広く知られている本というわけではありません。
しかし、この本は、昌平坂学問所の塾長を務めた儒学者の佐藤一斎(1772~1859)が40年あまりにわたって書いた語録で、指導者のバイブルと言われる名著です。昌平坂学問所とは、江戸幕府直轄の教育機関で、高杉晋作や佐久間象山らが学んだ場所。今で言うと、大学にあたるでしょうか。佐藤一斎の門下には数千人が学んだと言われています。
佐藤一斎の専門は朱子学ですが、その広い見識は陽明学にまで及んでいたと言われています。当時の江戸幕府による官学は朱子学ですが、佐藤一斎は、朱子学より実用的な陽明学を門下生に教えていたため、この名が付けられたとか。実用性が大切にされるのは、いつの時代も変わりません。そして、『言志四録』には佐藤一斎の幅広い見識と実用的なアドバイスが詰まっているのです。
『論語』と違って『言志四録』は、それほどたくさん解説本が出ていません。理由は明らかで、ただただ知られていない、ということに尽きます。しかし実際に読み込んでいくと、『論語』以上の面白さがあると私は感じます。実用主義と言えるほど、とにかく日々の生活に直結する大事なことが書かれています。
佐藤一斎が大事にしていたのは、「自分で決める」(選択する)ことだと、私は思います。人生は、自分で決めることの連続です。朝、食べるものから、着るもの、仕事の仕方、人との関わり方、そして自分との関わり方――。日々、膨大な量の選択を私たちはしていますが、あまり考えていなかったり、適当に決めていたりすることがあります。しかし佐藤一斎は、どんなときでも「自分で決める」ことを大事にしていました。
「自分で決める」ということは、自分の人生に責任を持つ、ということです。どんな小さなことでも自分で決める。そしてその結果は、きちんと引き受ける。それができてこそ、一人前と言えるでしょう。そうすれば、何か起こっても他人のせいにすることなく、自分のこととして解決できる。また、精神的にも“自分で決めたことだから”と、スッキリします。
また、どんな状況になってもへこむことなく、嵐がおさまるのを待って動き出すようにと、繰り返し言っています。
私たちは悪い状況になると、そこから逃れたくてつい無駄な動きをしてしまいがちです。しかし、それは大きな間違いで、動くと事態はかえって悪化することが多いのです。そういったときは、すべきことを淡々とし、嵐が過ぎるのを待つ。嵐の中でも少しは状況がよくなるときがあります。そのときに、力を入れ、物事を自分に引き寄せるのです。
長い人生、自分の思うようにならないときがあるからこそ、そのときを上手に使っていきたいものです。
(本書の「はじめに」「おわりに」から再構成しています)
著者名:齋藤孝(教育学)
出版社名:ウェッジ
発行年月:2017年10月
判型:B6
ISBN:9784863101890
≪内容情報≫
「知識」の朱子学と「実践」の陽明学、
その両方を極めた佐藤一斎からの
極めて具体的かつ実用的な人生指南。
『言志四録』は、西郷隆盛や吉田松陰、坂本龍馬らが心酔した書ですが、お世辞にも広く知られている本というわけではありません。
しかし、この本は、昌平坂学問所の塾長を務めた儒学者の佐藤一斎(1772~1859)が40年あまりにわたって書いた語録で、指導者のバイブルと言われる名著です。昌平坂学問所とは、江戸幕府直轄の教育機関で、高杉晋作や佐久間象山らが学んだ場所。今で言うと、大学にあたるでしょうか。佐藤一斎の門下には数千人が学んだと言われています。
佐藤一斎の専門は朱子学ですが、その広い見識は陽明学にまで及んでいたと言われています。当時の江戸幕府による官学は朱子学ですが、佐藤一斎は、朱子学より実用的な陽明学を門下生に教えていたため、この名が付けられたとか。実用性が大切にされるのは、いつの時代も変わりません。そして、『言志四録』には佐藤一斎の幅広い見識と実用的なアドバイスが詰まっているのです。
『論語』と違って『言志四録』は、それほどたくさん解説本が出ていません。理由は明らかで、ただただ知られていない、ということに尽きます。しかし実際に読み込んでいくと、『論語』以上の面白さがあると私は感じます。実用主義と言えるほど、とにかく日々の生活に直結する大事なことが書かれています。
佐藤一斎が大事にしていたのは、「自分で決める」(選択する)ことだと、私は思います。人生は、自分で決めることの連続です。朝、食べるものから、着るもの、仕事の仕方、人との関わり方、そして自分との関わり方――。日々、膨大な量の選択を私たちはしていますが、あまり考えていなかったり、適当に決めていたりすることがあります。しかし佐藤一斎は、どんなときでも「自分で決める」ことを大事にしていました。
「自分で決める」ということは、自分の人生に責任を持つ、ということです。どんな小さなことでも自分で決める。そしてその結果は、きちんと引き受ける。それができてこそ、一人前と言えるでしょう。そうすれば、何か起こっても他人のせいにすることなく、自分のこととして解決できる。また、精神的にも“自分で決めたことだから”と、スッキリします。
また、どんな状況になってもへこむことなく、嵐がおさまるのを待って動き出すようにと、繰り返し言っています。
私たちは悪い状況になると、そこから逃れたくてつい無駄な動きをしてしまいがちです。しかし、それは大きな間違いで、動くと事態はかえって悪化することが多いのです。そういったときは、すべきことを淡々とし、嵐が過ぎるのを待つ。嵐の中でも少しは状況がよくなるときがあります。そのときに、力を入れ、物事を自分に引き寄せるのです。
長い人生、自分の思うようにならないときがあるからこそ、そのときを上手に使っていきたいものです。
(本書の「はじめに」「おわりに」から再構成しています)