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江戸の王朝文化復興 ホノルル美術館所蔵レイン文庫『十番虫合絵巻』を読む /盛田帝子 ロバート・ヒューイ 松本大
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≪商品情報≫
著者名:盛田帝子、ロバート・ヒューイ、松本大
出版社名:文学通信
発行年月:2024年03月
判型:A5
ISBN:9784867660416
≪内容情報≫
なぜ平安時代を復活させようとしたか。
江戸時代、王朝文化を研究し、憧れ、復興しようとする人々が現れる。
王朝文化に憧れた彼らが、業平に仮託された男が都を思いながら「名にし負はばいざ言問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」(『伊勢物語』第九段)と詠んだ隅田川のほとりで再興したのが、「十番虫合」であり、本書で紹介するホノルル美術館所蔵『十番虫合絵巻』は、「十番虫合」に出座していた三島景雄が記録し編修した絵巻物である。
果たして「十番虫合」とは何だったのか。どこまでが事前に計画されたもので、どこまでが当座的なものだったのか。彼らは日本の古えを復興しようと努力していたが、それは腐敗した徳川幕府と日本の危機に対処する無能さに対する暗黙の批判であったのだろうか。
古典知の凝縮された『十番虫合絵巻』から、一体何がわかるのか。
本文はカラーで紹介。校訂本文、校異・現代語訳・注釈・英訳・人物解題を完備し、『十番虫合絵巻』を緻密に紹介しつつ、そこから読み解くことが出来たものを論考として付す。日英ハイブリッド出版。
執筆は、盛田帝子/松本 大/飯倉洋一/南 清恵/門脇むつみ/加藤弓枝/有澤知世/瓦井裕子/山本嘉孝/ターニャ・バーネット/フランチェスカ・ピザーロ/ヒルソン・リードパス/ジョナサン・ズウィッカー/アンドレ・ヘーグ。
【十八世紀後半の日本では、天皇を擁する京都でも、将軍を擁する江戸でも、尚古主義・好古主義が流行した。京都では、安永八年(一七七九)に践祚した光格天皇が権威の復興をめざして、多くの朝儀や神事を再興・復古し(藤田覚『光格天皇-自身を後にし天下万民を先とし-』ミネルヴァ書房、二〇一八年)、江戸では、八代将軍徳川吉宗の次男で、服飾や雅楽、古典文学や有職故実に造詣の深かった田安宗武が、明和二年(一七六五)に王朝儀式の復元を意識した物合「梅合」を再興した。宗武没後の安永・天明期の江戸では、堂上歌壇と関わりを持ち、『源氏物語』をはじめとする王朝文学に造詣の深い三島景雄や賀茂季鷹などが安永八年(一七七九)「扇合」、「前栽合」などの物合を次々に再興するが、王朝文化に憧れた彼らが、業平に仮託された男が都を思いながら「名にし負はばいざ言問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」(『伊勢物語』第九段)と詠んだ隅田川のほとりで再興したのが、本書で紹介する「十番虫合」という物合である。】「まえがき」より
著者名:盛田帝子、ロバート・ヒューイ、松本大
出版社名:文学通信
発行年月:2024年03月
判型:A5
ISBN:9784867660416
≪内容情報≫
なぜ平安時代を復活させようとしたか。
江戸時代、王朝文化を研究し、憧れ、復興しようとする人々が現れる。
王朝文化に憧れた彼らが、業平に仮託された男が都を思いながら「名にし負はばいざ言問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」(『伊勢物語』第九段)と詠んだ隅田川のほとりで再興したのが、「十番虫合」であり、本書で紹介するホノルル美術館所蔵『十番虫合絵巻』は、「十番虫合」に出座していた三島景雄が記録し編修した絵巻物である。
果たして「十番虫合」とは何だったのか。どこまでが事前に計画されたもので、どこまでが当座的なものだったのか。彼らは日本の古えを復興しようと努力していたが、それは腐敗した徳川幕府と日本の危機に対処する無能さに対する暗黙の批判であったのだろうか。
古典知の凝縮された『十番虫合絵巻』から、一体何がわかるのか。
本文はカラーで紹介。校訂本文、校異・現代語訳・注釈・英訳・人物解題を完備し、『十番虫合絵巻』を緻密に紹介しつつ、そこから読み解くことが出来たものを論考として付す。日英ハイブリッド出版。
執筆は、盛田帝子/松本 大/飯倉洋一/南 清恵/門脇むつみ/加藤弓枝/有澤知世/瓦井裕子/山本嘉孝/ターニャ・バーネット/フランチェスカ・ピザーロ/ヒルソン・リードパス/ジョナサン・ズウィッカー/アンドレ・ヘーグ。
【十八世紀後半の日本では、天皇を擁する京都でも、将軍を擁する江戸でも、尚古主義・好古主義が流行した。京都では、安永八年(一七七九)に践祚した光格天皇が権威の復興をめざして、多くの朝儀や神事を再興・復古し(藤田覚『光格天皇-自身を後にし天下万民を先とし-』ミネルヴァ書房、二〇一八年)、江戸では、八代将軍徳川吉宗の次男で、服飾や雅楽、古典文学や有職故実に造詣の深かった田安宗武が、明和二年(一七六五)に王朝儀式の復元を意識した物合「梅合」を再興した。宗武没後の安永・天明期の江戸では、堂上歌壇と関わりを持ち、『源氏物語』をはじめとする王朝文学に造詣の深い三島景雄や賀茂季鷹などが安永八年(一七七九)「扇合」、「前栽合」などの物合を次々に再興するが、王朝文化に憧れた彼らが、業平に仮託された男が都を思いながら「名にし負はばいざ言問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」(『伊勢物語』第九段)と詠んだ隅田川のほとりで再興したのが、本書で紹介する「十番虫合」という物合である。】「まえがき」より