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通州事件 /笠原十九司

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≪商品情報≫

著者名:笠原十九司
出版社名:高文研
発行年月:2022年09月
判型:A5
ISBN:9784874988084


≪内容情報≫

「通州事件」とは、北京郊外の盧溝橋で日中両軍が衝突(1937年7月7日)した22日後、北京から東へ20キロの都市・通州で、日本の傀儡政権・冀東防共自治政府保安隊が挙兵し、日本軍特務機関長以下の軍人・在留邦人(うち約半数が朝鮮人)が殺された事件である。

通州事件は日本軍の従属下にあった傀儡軍の保安隊が起こした虐殺事件であり、中国国民政府軍ではなかった。しかし当時の日本では中国軍による日本人居留民虐殺事件としてセンセーショナルに報道した。当時の新聞には、「戦慄! 通州反乱隊の残虐 突如全市に襲撃」「恨み深し! 通州暴虐の全貌 保安隊変じて鬼畜、罪なき同胞を虐殺」「悲痛の通州城! 邦人の鼻に針金とおして 鬼畜暴虐の限り」「世紀の残虐・ああ呪ひの通州 夫より迸る血の海に 鬼畜! 臨月の腹を蹴る」といった見出しが躍った。保安隊の残虐、残忍性を強調し、日本人居留民がいかに残酷な手段と方法で虐殺されたかを強調して、保安隊そして中国軍にたいする憎しみを喚起して、敵愾心、報復心、復讐心をき立てて、「暴戻なる(あらあらしくて道理にもとる)中国、中国人を懲らしめる」、当時の言葉でいえば「暴戻なる支那の膺懲」すなわち「暴支膺懲」のための正当、正義の戦争が「支那事変」(日中戦争)であると日本国民に思い込ませる意図をもっていたことにある。

現在でも、5カ月後の37年12月、日本軍が引き起こした南京大虐殺に影響を与えた事件として推測されているように、通州事件は官民挙げて日中戦争へ突き進んだ、大きな要因となった事件である。

本書は、その通州事件に至る「前史」「前夜」の歴史的背景、事件の全貌、そして、恩讐を乗り越え、反戦の思想にたどり着いた遺族の「戦後」をたどった貴重な記録である。

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