子ども学 第8号(2020) /白梅学園大学・白梅学
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著者名:白梅学園大学・白梅学園短期大学子ども学研究所「子ども学」編集委員会
出版社名:萌文書林
発行年月:2020年05月
判型:B5
ISBN:9784893472687
≪内容情報≫
本誌「子ども学」も第8号となりました。子どもをめぐる問題状況とそこに関わる諸学問を展望することを行っています。とくにこの第8号の特徴は,保育・幼児教育また子育て支援・家族支援という実践的な課題をめぐり,いくつもの学問的な視点の交錯として描き出していることがあげられます。また,「政策科学」という理念を実質化する試みを,おもに厚生労働省の施策の変遷を通して探りました。
ここまでの8年間の本誌の掲載論文を見渡すと,子ども学という分野の学際性が際立って見えてきます。一方で子どもを取り囲む保育や心理臨床や文化のいわば実践分野があります。他方にそれらを対象として特定の学問分野に即して研究を進めていく領域があります。そこには,思想・思想史,歴史学,社会科学・政策科学,文学・文化論,社会学,文化人類学,心理学,教育学,生理学,脳神経科学などの学問が,子どもとそれを囲む諸現象のあり方を検討しているのです。
どのアプローチもひとつの切り口であり,それにより特定の現象群を捉える知見の総体が見えるというものではありません。といって,さまざまな学問を通り一遍に学んでおけば,すぐに総合的でまとまった知見となり,実践の見直しや改善につながるということはあり得ません。それぞれの学問としてきちんとした方法論により対象に深く切り込んだ知見があり,それをいくつもつなぐことが必要なのです。ただそれは単にいくつかの学問の知見を併置するとおのずと成立することではないのです。対象に関わろうとする実践者・研究者が,自らそういった諸学問の知見を領域の専門家からの解説を受けながら,受け止めて消化し,自らの現場において創造的に生かしていくことしか方策はあり得ません。
本誌はそういったことに向けての思索の場であってほしいと願っています。執筆者と編集委員はもとより,本誌を読む読者においても,それぞれの場においてさまざまなアプローチからの知見をどう適用し,活用し,再創造可能なのかを検討して進めてほしいのです。そこにしか学問と実践をつなぐ道はつくり得ないのだと思うのです。
終わりに,編集委員を代表して,2019年12月にお亡くなりになられた小林登先生に哀悼の意を表したいと思います。小林先生は小児科学を専門としながら,それを大きく広げ,諸学問を取り込みながら,「子ども学」という分野を創設し,その拡充に努めてこられました。本誌「子ども学」もまた小林先生の構想の影響下にあって,8年間の営みを続けてきたのです。
(編集委員長 白梅学園大学名誉教授 無藤 隆「まえがき」より)