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瀧川儀作伝 「マッチ王」辨三を継いで /横田健一 浜田泰彰
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≪商品情報≫
著者名:横田健一、浜田泰彰
出版社名:BookWay
発行年月:2014年12月
判型:A5
ISBN:9784907439859
≪内容情報≫
“燧石”の江戸の日々から、明治にはいってマッチが広く普及した。現在でこそ、マッチを見たり使ったりする機会がめっきり減ったが、明治のごく初期には、マッチは火をおこす大変貴重な輸入品で、その後には国内で生産されはじめ、やがてどこの家庭にも大きなマッチ箱を見かける、身近でありながらも重要な日用品となった。
先駆的にマッチ業をおこしてそこで身をたて、そのマッチ業をもとに社会に貢献し、日本の「マッチ王」と称されたのが、瀧川辨三であり、その事業を継承したのが瀧川儀作であった。瀧川二代にとり、マッチはまさに文明開化の“灯”のようであったかも知れない。
瀧川辨三は、士族より実業に打って出て、当時の欧米列強に対しては“士魂商才”で憶さず、至誠の心で接し、神戸の地でマッチ業をおこした。明治日本の近代化の一分野を担い、マッチを花形の輸出産品にしたてた。当時の工業製品輸出の乏しい日本にあって貿易を大いに改善させ、やがて「日本のマッチ王」と呼ばれるに至った。誠と質実を貫き、見事なまでにその生涯を全うした。
辨三の娘婿となり瀧川儀作がそのマッチ業を継いだ。原著『日本のマッチ工業と瀧川儀作翁』は五十年以上前に刊行されたもので、原著は、儀作翁に恩顧を受け、また翁を慕う後進たちから、米寿の祝いに記念の書籍として贈呈されるべく、儀作翁でも「後進の参考」になることを願いこれを了承して、書かれたものである。著者は日本古代史で名高い横田健一である。
瀧川儀作の人生は、義父、辨三と同様、誠実ですがすがしく、父を範とした生き方であったと考えられる。外資の圧力や戦争という人生の荒波にもまれながらも、明治・大正・昭和の激動の三時代を、実に堂々とした生涯を送ったことが読みとれる。
この伝記は、神戸財界史を中心とした「史書」でもある。つまり伝記が、歴史的な事実として展開している。その意味で、瀧川儀作の思想と行動は、現在におけるわれわれが、過去をしっかりと捉え、今後の日本や国際社会について考え、行動する上で、大いに参考になると思われる。
もとは記念の贈呈本として刊行され、非売品であった原著ではあるが、これほど優れた伝記を、世の人にもっと知ってほしいとの思いで復刊を企画した。編集に際しては、巻頭の注記で述べたように、史書としての価値を損ねず、現代のわれわれが興味深く読めるよう大いに頭を使った。こうした努力が、幾ばくかでも実現していれば幸いである。なお、本著では年表、写真などで省略箇所があり、史料として読まれるのであれば、是非原著をひもといてほしい。
著者名:横田健一、浜田泰彰
出版社名:BookWay
発行年月:2014年12月
判型:A5
ISBN:9784907439859
≪内容情報≫
“燧石”の江戸の日々から、明治にはいってマッチが広く普及した。現在でこそ、マッチを見たり使ったりする機会がめっきり減ったが、明治のごく初期には、マッチは火をおこす大変貴重な輸入品で、その後には国内で生産されはじめ、やがてどこの家庭にも大きなマッチ箱を見かける、身近でありながらも重要な日用品となった。
先駆的にマッチ業をおこしてそこで身をたて、そのマッチ業をもとに社会に貢献し、日本の「マッチ王」と称されたのが、瀧川辨三であり、その事業を継承したのが瀧川儀作であった。瀧川二代にとり、マッチはまさに文明開化の“灯”のようであったかも知れない。
瀧川辨三は、士族より実業に打って出て、当時の欧米列強に対しては“士魂商才”で憶さず、至誠の心で接し、神戸の地でマッチ業をおこした。明治日本の近代化の一分野を担い、マッチを花形の輸出産品にしたてた。当時の工業製品輸出の乏しい日本にあって貿易を大いに改善させ、やがて「日本のマッチ王」と呼ばれるに至った。誠と質実を貫き、見事なまでにその生涯を全うした。
辨三の娘婿となり瀧川儀作がそのマッチ業を継いだ。原著『日本のマッチ工業と瀧川儀作翁』は五十年以上前に刊行されたもので、原著は、儀作翁に恩顧を受け、また翁を慕う後進たちから、米寿の祝いに記念の書籍として贈呈されるべく、儀作翁でも「後進の参考」になることを願いこれを了承して、書かれたものである。著者は日本古代史で名高い横田健一である。
瀧川儀作の人生は、義父、辨三と同様、誠実ですがすがしく、父を範とした生き方であったと考えられる。外資の圧力や戦争という人生の荒波にもまれながらも、明治・大正・昭和の激動の三時代を、実に堂々とした生涯を送ったことが読みとれる。
この伝記は、神戸財界史を中心とした「史書」でもある。つまり伝記が、歴史的な事実として展開している。その意味で、瀧川儀作の思想と行動は、現在におけるわれわれが、過去をしっかりと捉え、今後の日本や国際社会について考え、行動する上で、大いに参考になると思われる。
もとは記念の贈呈本として刊行され、非売品であった原著ではあるが、これほど優れた伝記を、世の人にもっと知ってほしいとの思いで復刊を企画した。編集に際しては、巻頭の注記で述べたように、史書としての価値を損ねず、現代のわれわれが興味深く読めるよう大いに頭を使った。こうした努力が、幾ばくかでも実現していれば幸いである。なお、本著では年表、写真などで省略箇所があり、史料として読まれるのであれば、是非原著をひもといてほしい。