ヒッタイト王国の条約と政略結婚 縛りと結びの政治外交 /山本孟
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著者名:山本孟
出版社名:九州大学出版会
発行年月:2026年09月
判型:A5
ISBN:9784798504063
≪内容情報≫
紀元前2千年紀後半の古代西アジアでは、エジプト・バビロニア・ミッタニ・アッシリアといった列強が並び立ち、外交書簡や条約が盛んに交わされていた。この時代がしばしば、人類の最初期の「国際化時代」と言われる所以である。なかでもアナトリアに成立したヒッタイト王国は、「鉄の王国」として軍事力や技術力が注目されることが多い。しかし、その勢力の維持と拡大を支えた背景には、武力だけではなく、複雑な国際関係を調整し、秩序づけていく高度な政治力と外交力があった。
本書は、主に都ハットゥシャから出土した楔形文字粘土板文書を読み解きながら、ヒッタイト王国がいかにして「条約」と「政略結婚」という二つの仕組みを用いて周辺諸国との関係を築き、広域の支配と秩序の形成を成功させていたのかについて考察する。
第一の柱である条約において、ヒッタイト王国では、単なる和平の合意を超えて、神の代理人たる王が他者を法的に拘束する「縛り」の概念が確立された。 神々を証人として王の命令や約束を拘束力あるものとする発想は、やがて当時の西アジアにおける条約のあり方にも少なからぬ影響を及ぼしていった。本書では、そうした「言葉による支配」の論理がどのように成立し、運用されたのかを検討する。
また、第二の柱である政略結婚は、単なる同盟の手段ではなかった。ヒッタイト王家は婚姻を通じて諸外国の支配者と親族関係を結び、彼らを「姻族」として王家を中心とする秩序のなかに位置づけていった。こうした関係は、国内における家族的秩序の観念を国際関係へと広げようとする試みでもあり、古代西アジアの外交の特徴を理解する上でも重要な視点であろう。
近年、ヒッタイト研究の進展によって、従来の「鉄の帝国」や「軍事国家」というイメージだけでは捉えきれない姿が明らかになりつつある。本書では、楔形文字粘土板文書史料を読み解くことで、武力だけではなく、言葉と論理、そして人間関係を築くことを通じて国際社会に向き合ったヒッタイト王国の姿を描くことを目指したい。







