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量の理論とアナロジー/久保和良
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久保和良
コロナ社
計測・制御セレクションシリーズ 3
ISBN:4339033839/9784339033830
発売日:2021年11月
【内容紹介】
公園のブランコが揺れる、木々が揺れる、心が揺れる。3つの揺れはそれぞれ違うものだけれども、共通の構造がある。ブランコが揺れ始めるのは外力が原因したことの結果である。外力がなくなっても揺れているのは、行きすぎると引き戻す力が働いて、平衡点では速度をもって逆に行き過ぎて、これが繰り返されるからである。最後に摩擦が影響して、揺れは収まる。木々はおそらく強風が原因となって揺れたのだろう。心が揺れる原因は、恋だろうか。
熱いコーヒーを飲み忘れていると、温度は徐々に下がってゆく。粘性の高い液体中の物体をバネで引っ張ると、物体の位置は徐々に平衡点へと近づく。電荷を十分にチャージしたコンデンサを負荷抵抗につなぐと、両端の電位差は徐々に消散する。これら全く異なる現象は、すべて1階の微分方程式に支配される。薬の半減期も、放射性同位体の半減期も、コンサートホールの残響も、背景には同じ仕組みがある。
多くの学問分野は別のように見えても、対応構造に着目すれば、分野横断型のアナロジーが役にたつ。社会学の人口増加も、医学のウィルス感染者数の減少も、回路学や力学との類推で扱えることになる。その際、社会学や医学の細かな事情は必ずしも必要ではない。社会学のマクロな視点も、医学のミクロな視点も、アナロジーのメタレベルの視点で解決できる。大衆のマスコミュニケーションはメゾレベルの視点なので、そこに気づきにくい。だから権威にミクロ、マクロの意見を求める。しかしメタレベル視点のアナロジーによると、権威に頼ることなく、驚くほど平易に解決する。
分野は異なるが同じような現象の対応付けがなされることを、アナロジーと呼ぶ。本書ではアナロジーを科学的に述べている。横断型の思考法は、全体を見通せるので、問題解決に高い能力が発揮できる。その一つの方法がアナロジーである。
アナロジーを考える上で、物事の構造に注目する必要が出て、その背景には量の理論が見えてくる。この一連の科学をまとめるにあたって、筆者は、そこに系統だった理論がないことに気づいた。そこで本書では数学教育、物理、計測、機械工学、電気工学、システム工学など、可能な限りの量の理論とアナロジーを紹介して全体を読者に提供する方針をとった。量の理論を集約すると「1.量の放逐、2.量の線型代数、3.外延量と内包量、4.示量変数と示強変数、5.フローとエフォート、6.位差量と流通量」の6系統の形が見えた。本書では量そのものの科学にも広く言及した。諸姉諸兄には量の理論とアナロジーを発想に役立てていただき、筆者が積んだ石の上に、玉を積んでいただくことを願っている。
本書は読者を限定していない。どこか興味のあるところから読んでいただければ、難しい理論は読み飛ばしても、全体が見えてくる。物理学を不変量から眺めるだけで、全体がつかめそうである。分野にとらわれて出口を見失ったすべての方に、お勧めしたい。
コロナ社
計測・制御セレクションシリーズ 3
ISBN:4339033839/9784339033830
発売日:2021年11月
【内容紹介】
公園のブランコが揺れる、木々が揺れる、心が揺れる。3つの揺れはそれぞれ違うものだけれども、共通の構造がある。ブランコが揺れ始めるのは外力が原因したことの結果である。外力がなくなっても揺れているのは、行きすぎると引き戻す力が働いて、平衡点では速度をもって逆に行き過ぎて、これが繰り返されるからである。最後に摩擦が影響して、揺れは収まる。木々はおそらく強風が原因となって揺れたのだろう。心が揺れる原因は、恋だろうか。
熱いコーヒーを飲み忘れていると、温度は徐々に下がってゆく。粘性の高い液体中の物体をバネで引っ張ると、物体の位置は徐々に平衡点へと近づく。電荷を十分にチャージしたコンデンサを負荷抵抗につなぐと、両端の電位差は徐々に消散する。これら全く異なる現象は、すべて1階の微分方程式に支配される。薬の半減期も、放射性同位体の半減期も、コンサートホールの残響も、背景には同じ仕組みがある。
多くの学問分野は別のように見えても、対応構造に着目すれば、分野横断型のアナロジーが役にたつ。社会学の人口増加も、医学のウィルス感染者数の減少も、回路学や力学との類推で扱えることになる。その際、社会学や医学の細かな事情は必ずしも必要ではない。社会学のマクロな視点も、医学のミクロな視点も、アナロジーのメタレベルの視点で解決できる。大衆のマスコミュニケーションはメゾレベルの視点なので、そこに気づきにくい。だから権威にミクロ、マクロの意見を求める。しかしメタレベル視点のアナロジーによると、権威に頼ることなく、驚くほど平易に解決する。
分野は異なるが同じような現象の対応付けがなされることを、アナロジーと呼ぶ。本書ではアナロジーを科学的に述べている。横断型の思考法は、全体を見通せるので、問題解決に高い能力が発揮できる。その一つの方法がアナロジーである。
アナロジーを考える上で、物事の構造に注目する必要が出て、その背景には量の理論が見えてくる。この一連の科学をまとめるにあたって、筆者は、そこに系統だった理論がないことに気づいた。そこで本書では数学教育、物理、計測、機械工学、電気工学、システム工学など、可能な限りの量の理論とアナロジーを紹介して全体を読者に提供する方針をとった。量の理論を集約すると「1.量の放逐、2.量の線型代数、3.外延量と内包量、4.示量変数と示強変数、5.フローとエフォート、6.位差量と流通量」の6系統の形が見えた。本書では量そのものの科学にも広く言及した。諸姉諸兄には量の理論とアナロジーを発想に役立てていただき、筆者が積んだ石の上に、玉を積んでいただくことを願っている。
本書は読者を限定していない。どこか興味のあるところから読んでいただければ、難しい理論は読み飛ばしても、全体が見えてくる。物理学を不変量から眺めるだけで、全体がつかめそうである。分野にとらわれて出口を見失ったすべての方に、お勧めしたい。
※本データはこの商品が発売された時点の情報です。


