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宇宙のアノマリーはどこまで判明したのか 標準モデルを揺るがす謎の現象/ハリー・クリフ/熊谷玲美

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ハリー・クリフ熊谷玲美
柏書房
ISBN:4760156372/9784760156375
発売日:2025年08月



【内容紹介】
本書は『物質は何からできているのか――アップルパイのレシピから素粒子を考えてみた』の著者による最新作。今回は標準モデル(標準模型ともいう)についてのアノマリー(異常)について面白く語っている。標準モデルとは、素粒子物理学における理論では、宇宙に存在する4つの力のうち強い相互作用、弱い相互作用、電磁相互作用の3つを記述するためのモデル(重力は除くため)のことで、20世紀における物理学の到達点とも言われる。宇宙論に関しても標準モデルがあって、こちらはビッグバンからはじまる膨張する宇宙について記述しているが、標準モデルで説明可能なのはわずか5パーセント程度と言われている(説明できないからダークマターやダークエネルギーなどがある)。どちらも、まだわからないことが多く、調べれば調べるほど数値の異常が見つかるため、その理論の正しさが常に検証されている。そこにはニュートンまでの物理学がアインシュタインによる相対性理論によって、まったく新しい物理学として書き直されたのと同様の考えがある。また、これらの4つの力はもともと1つだった可能性があり、そのため3つだけを記述する理論では不十分となり、この標準モデルを越える理論が求められることにもなっている。とは言え、この3つだけをまとめる理論も完成はしていない。
これまで物理学は先に理論を打ち立て、それを実験によって確かめるという方法を取ってきた。ヒッグス粒子の発見はそうした流れにおける象徴的な出来事で、これによって標準モデルという理論の正しさが確認されたのだ。そしてこれですべてが解明された(ニュートンの時代も同様)と思わずにはいられなかった。しかし、本当にそうだろうか? と考える物理学者が出てきた。そして徐々に実験精度が高まり、また大規模な実験が出来るようになり、これまでの「標準モデル」から逸脱する実験結果がたくさん見つかるようにもなってきた。そのため実験結果から理論を見直すという方向に変化してきてもいる。つまり、アインシュタインによる一大転換からさらに新しい物理学を探そう、という方向に向かっているのだ。本書はその現状とこれまでの経過を前作と同様、研究者へのインタビューも含め、わかりやすく面白く書きまとめた読み物となっている。さて、新しい物理学は見つかるのだろうか。

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